エンジニアのための法律勉強会 #14『民法改正と開発業務委託契約』 @コワーキングスペース茅場町 Co-Edo(コエド)

去年あたりから業務委託による副業エンジニアを始めたことで、法律についてちょっとは真面目に専門家の話を聞いておいた方が良いでしょう。ということで、勉強会に参加しました。

講師は東大法学部卒業された野島 梨恵氏(東京山王法律事務所

北海道は離婚案件が絶えないらしい。大丈夫か北海道?

民法上の請負、委任とは

民法上、業務委託契約が定められているわけではない。業務委託による業務とは、ほぼ委任である。該当する民法の条文は請負。

第九節 請負 (請負)
第六三二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法上、システム開発契約が民法上最も近いのはどれか?
→請負であろう

最近は判例が積み重なり、どうも違うのでは、となってきた。

仕事の完成と引き渡しが請負なので、完成していないものにお金を払わなくてもよい、となってしまう。更には、以下の瑕疵担保責任に関して、直近大きく変わる予定となっている。

(請負人の担保責任)
第六三四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

委任とは?

第十節 委任
(委任)
第六四三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

一生懸命やるけども、完成するかどうかは問わない。要は真面目にやれということ。信頼関係が原則。ただし、原則無償。なので、ちゃんと金もらう契約を明記しないと法的には踏み倒せる。

システム開発においては、当初は委任契約で、固まってきたら請負で契約しましょう、というところも多い。

契約書がなぜ必要か?

いざ揉め事になった際に、立証するための情報として契約書(証拠)が必要。証拠がないと裁判所も審議できない。

裁判沙汰になったとき、必要なのは手持ちの証拠、ただそれだけ。

日本においては書面による証拠が重要。録音もあった方が良いが、あくまで補助的な役割。録音のみに頼るのはよくない。友人知人の証言もあてにしない。

個人なのか法人なのか。例えば、覚書や契約書に取締役個人のサインやハンコがあっても、その人が属する会社としての責任が生じるとは限らない。

納期が変わったらメールで済ませず、可能な限り覚書として残す。そういうこといちいちできません、な場合は事ある毎に議事録に残るように発言する等の工夫が必要。

契約書に損害賠償額の請求について記載があった場合、額を制限できるか?発注側受注側双方にとってとても難しい。

契約書を読まない、というのは論外です。そりゃそうだ。

請負契約の今とこれから

新562条(売買における追完請求権)
引き渡された目的物が種類、品質、または数量に関して契約の内容に適合しな いものであるときは、買主は売り主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又 は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は 買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる 方法による履行の追完をすることができる。

瑕疵→契約の内容の不適合 と、言い方が変わった。

新563条(買主の代金減額請求権)
前条に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完を催促し その期間内に履行の追完がない時は、買主は、その不適合の程度に応じて代金 の減額を請求することができる。

この条文はこれまでなく、新しい。

瑕疵担保期間はどれくらい?原則として「瑕疵を知ってから1年」という厄介なもの。引き渡されてから5年までに気づかないとダメよ、という文言を契約書に追加する対策をした方が良い。大きくは下記2点。

  1. 「瑕疵」の変化
  2. 「瑕疵担保責任」の変化~寿命、修補、減額請求

契約の趣旨に合っているか、をどう判断するか。今後の課題。

委任契約の今とこれから

現648条
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、こ れを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第 624 条第 2 項の規定を準用する。 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了し たときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができ る。

これまでは無償が前提の条文だったのが、

新648条の2
委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合に おいて、その成果が引き渡しを要求するときは、報酬は、その成果の引渡しと 同時に、支払わなければならない。

このように請負的な、完成した場合の条文が追加された。

なんで今改正するの?

120年近く、大して改正してこなかった民法(第四編 親族を除く)を、今回大改正する。当時のフランスやドイツの民法をパクりつつイヤイヤ作ったもの。自分たちにとって使いやすいかは考えていない。

作成当時の状況とは全く違うので、さすがに変えましょうとなった。民法改正の法案が通ったのが2017年、施行されるのが2020年。

まとめ

契約書に記載した、合意した内容に関しては、民法よりもそちらが優先される。

契約書は自由に設計できる。当事者双方が達成したいことをきちんと設計すべき。理想は、法律に関する知識がなくとも理解できる契約内容にしようね。

とても楽しく生々しい実例を交えた内容で、飽きさせない講義内容でしたw 次回も来よう。

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